むし歯

むし歯の原因を根本から改善する治療が大切です

何らかの要因により脳の血管が切れてしまった時、患者の命を救うために手術が必要となる場合があります。この時、患者の年齢が20歳程度で、事故が原因で脳の血管が切れたのであれば、手術をするだけで治療を終えられることもあります。しかし、ご高齢の方で高血圧が原因で切れてしまったのであれば、手術だけで治療を終えるのは難しくなります。手術後、内科などで血圧をコントロールする治療(病気の原因と根本から改善する治療)が必要となります。これは、歯科医療でも同じです。
むし歯になった歯を削ったり、抜いたりすることで、症状を改善させることは可能ですが、それはあくまで対症療法であり、病気の原因を根本から改善させる治療ではありません。高血圧が原因で脳の血管が切れた方に、手術で血管を繋いで「治りましたよ」と言っても、血圧が高いままでは再発する恐れがあるのと同じように、むし歯にかかった方の歯を削ったり、抜いたりしても、それで治ったわけではなく、またいつか再発する恐れがあります。
患者様によってむし歯を引き起こす原因は様々で、ある方はご自宅でのブラッシングなどのケアが適切に行われていないためかもしれませんし、ある方は食事などの生活習慣に問題があるためかもしれません。当クリニックでは、そうした患者様お一人おひとりの原因を見極めて、適切に取り除くこと、これこそが本当の意味での「治療」であり、「最も重要な治療」であると考えています。

むし歯という病気の本質

むし歯という病気の本質は、「歯に開いた穴」にあるわけではありません。「歯に開いた穴」はあくまでむし歯の症状の1つであり、「なぜ穴が開いたのか」という部分に本質があります。現在の歯科医療では、むし歯と言う病気は「脱灰と再石灰化のバランスの乱れ」であると定義されています。穴に至っていない初期のむし歯であれば、口腔内を再石灰化が起こりやすい環境に整えることで、削るなどの治療を行わなくても治癒させることが可能です。こうした歯への侵襲を最小限に抑えた治療(最小侵襲治療)と、歯の形を整える治療(修復治療)を両立させることが重要となります。

脱灰が起こりやすい口腔内環境~むし歯のリスク検査~

  • むし歯の原因菌の数が多い
  • 唾液の量が少ない。
  • 飲食の回数が多い(炭水化物が口の中に入る回数が多い)

など

むし歯のリスク検査を行うことで、何が要因で脱灰が起こりやすくなっているかなどを確認することができます。また、検査結果に基づいて要因を取り除くことで、再石灰化が起こりやすい口腔内環境を作ることが可能となります。

むし歯の進行

CO

初期のむし歯です。むし歯の原因菌が食べ物の糖などから産生した酸により、歯のエナメル質(歯の表面)が少しずつ溶かされ始めた状態です。痛みなどの症状はありませんが、エナメル質が白濁することがあります。

C1

むし歯が進行して、エナメル質がさらに溶けた状態です。痛みなどの症状はありませんが、冷たいものがしみたりすることがあります。また、歯の溝などに黒や茶色い部分がみられるようになることがあります。

C2

むし歯が進行して、エナメル質の奥にある象牙質にまで達した状態です。冷たいものや、甘いものを食べた時にしみたり、痛みが生じたりするようになることがあります。

C3

むし歯が歯髄(歯の神経)にまで達した状態です。冷たいもの、甘いもの、熱いものを食べた時にしみたり、安静時でも痛みが生じたりするようになることがあります。

C4

むし歯菌の酸により、歯冠部分(歯茎の上に出ている部分)がほとんど溶けた状態です。歯髄が壊死してしまっているため、痛みなどの症状は収まりますが、歯根(歯の根っこ)に膿が溜まると、激しい痛みを引き起こすことがあります。

むし歯の治療

初期のむし歯の治療

初期のむし歯の場合、歯質欠損がまだ起こっていないため、歯科クリニックでフッ素塗布などの治療を行ったり、ご自宅での適切なブラッシングのほか、カルシウムイオンを供給してくれるガムや、歯磨剤をご使用頂くなどのホームケアにより、再石灰化を促して治癒をはかることが可能です。これらの治療やホームケアの成果を、ダイアグノデント(むし歯診断装置)などを使って、数値で客観的に評価します。

歯の隣接面のむし歯の治療

歯の隣接面にむし歯がある場合には、半年から1年に1回程度の頻度でレントゲン検査などを行って、状態を確認した後、適切な治療を行います。また、歯ブラシを使ったブラッシングだけでなく、フロスなどを用いたホームケアも必要となります。

経過観察

むし歯の治療では、きちんと経過を観察することが重要となります。当クリニックでは初診時と治療後に口腔内写真撮影などを行い、患者様の口腔内の記録を取ることで経過を観察しています。こうした記録がなければ、治療の評価や、過去の状態との比較などを行うのは困難になります。また、患者様にご自身の口腔内の状態をきちんと説明して、ご理解頂くことも難しくなります。口腔内写真などの記録を取り続けることで初めて、適切な経過観察が行えるようになります。撮影した写真はすべて、プリントアウトしてお渡しして、定期メインテナンスやホームケアのモチベーション維持に役立てています。

ホームケア

いくら治療を行っても、ホームケアが適切に行われていなければ、期待した効果が得られない場合があります。患者様の口腔内の状態によって適切なケア方法は異なりますので、お一人おひとりに最適な方法をアドバイスさせて頂きます。

むし歯の再発を防止するために

むし歯治療で歯を削り、詰め物を詰めた場合、患者様の口腔内の状態やホームケアの精度などによっては、詰め物と歯の継ぎ目に歯垢(プラーク)などの汚れが溜まり、むし歯を再発させてしまうことがあります。そうなると、むし歯再発部分を削り、一回り大きな詰め物を詰めるなど、大がかりな治療が必要となる場合があります。こうした「むし歯の治療」→「むし歯の再発」→「より大がかりな治療」という負のサイクルを生み出さないためにも、初期のむし歯に対してはできる限り侵襲を抑えた治療(最小侵襲治療)を行う必要があります。
そして、むし歯の治療は「詰め物や被せ物を入れたら終わり」ではありません。その後の定期メインテナンスも含めて、1つの治療です。むし歯の再発防止のためには定期メインテナンスが欠かせませんので、是非受けられるようにしてください。

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