歯周病

歯周病とは

歯周病とは、歯と歯茎の間などに溜まった歯垢(プラーク)内の原因菌に感染することで発症する慢性感染症です。原因菌が歯根(歯の根っこ)に沿って歯周ポケット(歯と歯茎の隙間)に入り込むことで、歯茎に炎症を起こしたり、歯槽骨(歯を支える骨)を破壊したりします。
歯周病は「歯肉炎」と「歯周炎」とに分けられ、歯肉炎では歯茎に炎症があるものの、歯槽骨はまだ破壊されていません。一方、歯周炎では歯槽骨が破壊され始めます。歯槽骨の破壊は、原因菌が出す毒素などに対する体の免疫応答の結果であることがわかっていますので、原因菌を歯の表面から取り除くなどの治療を行うことで、進行を抑制することが可能となります。

歯周病と全身疾患の関連性

歯周病を放置すると、原因菌が体内に侵入して、糖尿病を悪化させたり、動脈硬化を引き起こしたりするなど、全身の健康にも悪影響をおよぼすことがあります。特に糖尿病の方は注意が必要で、糖尿病の方は、そうでない方と比べて、歯周病の罹患率が2~3倍程度高いとされています。反対に、歯周病にかかっている方は、歯茎の炎症部分からインスリンの作用を阻害する物質が作り続けられるため、糖尿病に罹患する危険性が高いほか、進行も早いとされています。

歯周病の進行

健康な歯茎

  • 歯周ポケットの深さ
    1~2mm程度
  • 状態
    歯茎に炎症などもなく、引き締まった状態です。

歯肉炎

  • 歯周ポケットの深さ
    2~3mm程度
  • 状態
    歯茎が炎症を起こした状態です。ブラッシング時などに出血することがありますが、まだ歯槽骨は破壊されていません。

軽度歯周炎

  • 歯周ポケットの深さ
    3~5mm程度
  • 状態
    歯茎の炎症が悪化した状態です。歯周ポケットに原因菌が入り込んで、歯槽骨や歯根膜などを破壊し始めます。

中度歯周炎

  • 歯周ポケットの深さ
    4~7mm程度
  • 状態
    歯茎の炎症が拡大し、歯槽骨の破壊も進行した状態です。歯がぐらぐらと動くようになります。

重度歯周病

  • 歯周ポケットの深さ
    6mm以上
  • 状態
    歯槽骨が半分以上破壊された状態です。歯のぐらつきがさらにひどくなります。

歯周病の検査

プロービング検査

プロービング検査とは、「ポケットプローブ」という先が丸い探針を使用して、歯周ポケットの深さや出血の有無などを確認する検査です。この検査により歯周ポケットの深さが3~5mm程度と診断された場合には、すでに歯周ポケットに歯周病の原因菌が繁殖している可能性がありますので、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)などの治療が必要となります。

プロービング検査でわかること
  • 歯周ポケットの深さ・幅・形
  • 歯肉縁下の歯垢の有無
  • 歯茎や歯周ポケットからの出血
  • 歯の動揺度
  • 歯根部分の病気の有無
  • 歯茎の緊張度
  • 歯茎のアタッチメントレベル(歯茎が歯と付着している位置)
    など

レントゲン撮影

レントゲン撮影により、歯の状態、顎の位置関係、口腔内の詰め物・被せ物の状態などを確認します。患者様の中には被ばく線量が気になる方もいるかもしれませんが、レントゲン検査による被ばく線量は非常に微量ですので、ご安心ください。

口腔内チャート

プロービング検査やレントゲン撮影などの結果をもとに、口腔内チャートを作成します。口腔内チャートには、歯垢や歯石の付着度合い、出血の有無、歯の動揺度、噛み合わせの状態など、患者様の歯1本1本の状態を詳しく記入します。

歯周病の治療

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)

主に、初期の歯周病に対して行われる治療です。歯周ポケット内の歯垢や歯石などを除去することで症状の改善をはかったり、歯面を滑らかに研磨することで、汚れの再付着を防止したりします。歯周ポケットが深いため、そのままの状態では除去するのが難しい時などには、歯茎を少し切開して可視化した後、歯根面をきれいにクリーニングするなどの歯周外科処置を行う場合もあります。

サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT):メインテナンス

スケーリング・ルートプレーニングなどの治療により、歯周病の症状が安定してきた時などに行われる治療です。定期的にご来院頂いて口腔内の状態をチェックしたり、ブラッシング指導を行ったりするほか、歯垢や歯石が再付着している場合には、スケーリング・ルートプレーニングなどを行って清潔な状態に戻します。

歯周病における定期メインテナンスの重要性

歯周病の発症を防ぐためには、適切なブラッシングなどのホームケアが重要となりますが、歯肉縁上(歯と歯茎の境目よりも上の部分)の歯をきれいに磨くことはできても、歯肉縁下(歯と歯茎の境目よりも下の部分)をきれいにすることは難しいと思います。さらに言えば、歯肉縁下は患者様が管理する範囲ではないと考えています。歯肉縁上のケアの精度が低いと、歯肉縁下に細菌が付着しやすくなるので、もちろんホームケアも大切なのですが、患者様ご自身だけでは清潔な状態を保つのが難しい歯肉縁下のケアは、歯科クリニックでプロフェッショナルケアの力を借りられることをおすすめします。当クリニックでは定期メインテナンスなどにより、患者様の歯肉縁下を清潔な状態に保ち、歯周病から歯をお守りします。

定期メインテナンスなどにより歯周組織を良好な状態することは可能です

歯周病の進行にともない、歯槽骨などの歯周組織が破壊されてしまった場合、「GTR」や「エムドゲイン」などの歯周再生療法が行われることがあります。当クリニックでもこれらの治療に対応していますが、現在ではほとんど行っていません。なぜなら、スケーリング・ルートプレーニングなどの基本的な治療や、定期メインテナンスなどにより、歯周組織を良好な状態にすることが可能だからです。適切な治療や、定期メインテナンスなどを受けられていれば、歯周再生療法などの大がかりな治療を行わなくても、歯周組織の状態を改善したり、良好な状態を維持したりすることはできると考えています。

煙草を吸うと血行が悪くなり、歯周病の進行が早まる場合があります

煙草を吸うと血行が悪くなり、歯周病の進行が早まる場合があります。また、定期メインテナンスを受けられている患者様で比較しても、喫煙者が歯周病により歯を失う確率は非喫煙者の2倍程度、抜歯した歯の本数は3倍程度になります。歯周病から歯を守るためにも、お体の健康のためにも、禁煙されることをおすすめします。

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